目に優しいだけじゃない、ベンチャーは自然の中で合宿をした方がいい理由【2019春編】

令和が始まって2週間ほど経ちました。
はたらく大人の皆さま、GWのてんやわんやから、日常にうまく戻れましたでしょうか?

さて株式会社Flucleには、「GWには、遠方で経営会議/合宿をする」という不思議な慣習がありまして、2019年も例外なく行われました。

ネット調べですが、同じように土日や連休を利用して経営合宿をするというベンチャー・スタートアップは多いようです。呼び方は「オフサイト合宿」「全社合宿」「チーム合宿」とさまざまですが、効率重視のベンチャーで導入が進んでいるのならば、やはり何かしらの効果があるのでしょう。

そして、日頃から「非日常の環境に身を置き、アウトプットの質を高める」というリトリート×仕事を提唱していることもあり、株式会社Flucleの経営合宿の行き先は、大抵が人里離れた山方面です。


昨年の様子はこちら!
2018年のGWに、現世から隔離された山寺で行われた会議の記録です。
リトリート×仕事を、社員全員でやってみた


というわけで、この記事では、スピード感とミッションの共有が必要なベンチャーでは、ギュギュっと凝縮した合宿はビジネス推進のカギになるよ!ということ、そしてその場所はやはり自然の中が一番だよ!ということを、写真をふんだんに用いながらご説明したいと思います。

 

 

意識高い言葉だけでは、伝えられない合宿もある

よくいわれる経営合宿のメリットは、以下のようなものです。

・会社のビジョンやミッションを共有できる
・チームのコミュニケーションを強くできる
・時間をたっぷりつかって戦略を練ることができる

どれも「その通り」です。しかし何だか語感が薄っぺらく感じませんか?

私も書いていてちょっとゾワッとしました。確かに全部その通りなんですが、耳ざわりの良い言葉が一定以上並べられたときに感じる胡散臭さ、そして具体的なイメージができないことのもどかしさ…でも、そのモゾモゾ感を言語化できないと、「合宿した方がいいよ!」という提唱も、世間にうまく伝えられない。

だから、少し長くなりますが、経営合宿のいいところと、今回の合宿では何をしたのかを、ある程度具体的に書いてみます。

 

経営合宿をネガティブに捉える人はベンチャーには要らない

まず大前提として、「GWに会社の人と合宿…?あり得ない…」と拒否反応を起こし、白目をむいて後ずさりをするような人は、経営合宿が行われるようなベンチャーには存在しないはずです。

少なくとも、数名〜十数名程度の発展途上のベンチャーであれば、全員が何かしらの責任を負い、自社ビジネスと運命を共にしています。また「今はこんなにバタバタしているけど、早くサービスを軌道に乗せたい」と、ブレークスルーを見出すべく心身を粉にしていることでしょう。

私(広報担当・本田)も、人からGWの予定を聞かれ「最終2日間は経営合宿に行く」と答えるたび、さまざまな反応に出会いました。(ときに憐みの目を向けられましたが、説明が面倒なので無視しました)

もちろん「面倒だな」という気持ちは多少あります。しかし「やった方がいいだろうな」というポジティブな焦りが大半で、残りは「まあ仲間とワイワイ議論するのも楽しかろう…」という、レクリエーション的な期待感。人が思うほど、気が重いものではありません。

しかし、あら不思議。

これが「GWに、オフィスに出社しての会議」だったらどうか…と考えると、一気に気分が沈みます。

いつものメンバーと、いつものオフィスで、決められた議題に沿って順番に話し合いをしていく…もしそんな予定が組まれたら、「わざわざGWにやるもんじゃなーーーーーい!」とデスクの上のモニターをひっくり返したい気分になって…当然ですよね?

やはり、同じ休日出社でも、オフィスでの会議と「非日常空間での合宿」には、天と地の差があるようです。

 

コスパ? カルチャー継承費用だと思うしかない

「わざわざ経費をかける意味が分からない」「合宿なんて行く暇があったら作業を」とも思われそうですが、わざわざ合宿に行くからこそ、可能になることもあります。

それは、「分かっているつもり」の企業カルチャーの、顔を突き合わせての再確認です。

日頃から割と仲の良い弊社ですら、その機会を積極的につくる必要があるくらいですから、急激に人数が増え始め、ビジョン・ミッションを全員が同じ濃度で理解しにくくなったチームにとっては、会社が発展してもそのカルチャーを引き継ぐためだと思えば、合宿にかかる時間・経費など「取るに足らない要素」ではないでしょうか。

 

新緑の力はすごい

というわけで、株式会社Flucleの今回の合宿のテーマは「価値観の共有」でした。

そして新緑まぶしい、大阪北部の有名な某滝の近くが行き先として選出され、5月5日の朝早くに社員全員が最寄り駅に集合したのでした。

まるでミントゼリーのようにプルプルした透明感あふれる青もみじのトンネルを抜け、歩くこと20分。気温の高い日でしたが、木々が陽光を柔らかくはね返してくれるため、肌に触れる大気には清涼感があります。

「気持ちい!」「美しい!」「いい季節だね!」といい合いながらの道のりですが、ここですでに非日常で行われる「チームリトリート」の効果が出始めています。合宿で価値観をすり合わせるには、まずは、身を置く新しい環境に「共感」し合うことが大切なのです。

まだ何も話し合っていませんが、慣れたオフィスとは違う「一体感」が生まれます。

義務教育で行く林間学校や修学旅行は、決して現地の研修だけが目的ではありませんよね。大人になったって、チームで「いつもと違う場所に行く」ことには、結束を固めコミュニケーションを円滑にする作用があるのです。

さて、荷物を置き、合宿のプログラムがスタート。前半は分刻みのアジェンダに従って、サービスに関するブレストを行います。

持ち込んだ大量の付箋に、脳から絞り出したアイデアを書き付け、共有を進めていきます。同じ議題にもかかわらず、出てくるワードがこんなにも違うとは…と、メンバーの意識の多様性にも改めて気付きます。

そして、ふと目を上げて窓の外を見ると、窓を埋めつくす新緑。

め、目に優しい―!!!

写真の加工なしで、このきらめき。そして一気に脳をほぐしてくれる柔らかい光。

もし目の前に、大嫌いな上司がいたとしても、菩薩のようにすべてを許容し、リフレッシュができそうなほどの破壊力を持った新緑です。

 

PC/スマホとにらめっこし、小さな画面の中に良いことも悪いことも押し込め、背中を縮めて仕事をしている日常が、たった数時間で遠いものになります。

これは実はすごいことです。

慣れた場所から身を移して仕事をするだけで、自分を取り巻くネガティブな要素に優しくなれる。だから本当は、ギスギスした組織や、考えが行き詰まり、閉塞感を覚えている会社員にこそ体感して欲しい…とも思っています。

 

 

疲れる!でも、疲れない

午後は、カスタマージャーニー作成と、相互理解に関するコミュニケーションワークが行われました。

方向性の違うプログラムですが、共通項は「自分の考え・想いを、端的にそして素直に表現する必要がある」ということです。両プログラムともに脳の筋肉を酷使しますが、オフィスで行ったら倍は疲れていたはずです。

しかし、いくら議論が白熱しようとも、集中力がふと途切れたときに窓を見ると…

め、目に優しい―ー!!!

キュッと締まった脳筋が、ホロホロと、ほぐれていきます。

そして、そういえば施設についてからPCを立ち上げていないと気付きました。
二度、目に優しい…。

人のイライラや疲労は、目の疲れからくるものが大半といわれています。ただそこにいるだけで「目に優しい」環境って、都会にいるとなかなか巡り合えませんよね。目を酷使する職業についている皆様!自然の中で行う合宿、おすすめですよ。

 

オープンな空間で、クローズドなコミュニケーションを取る

日常から離れた環境の経営合宿で、何をするか。これはチームによってさまざまでしょう。インプットでも、アウトプットでも、いつもより感覚が研ぎ澄まされ、疲労感が少ないままタスクがこなせるはずです。

しかしやはり、おすすめは「コミュニケーション」に関するプログラムです。

コミュニケーションを軽視する組織はないでしょう。しかしそれが上司や管理職の「口だけ」になっている場合は、お仕着せの親睦会などで胃に穴をあける社員が続出するだけで、逆効果になっているケースも多いはずです。

しかし本来、会社と社員のコミュニケーションの結果は、エンゲージメントとして現れますし、社員と社員のコミュニケーションはチームの風通しのよさにつながるはずです。

コミュニケーションに関する懇親会や研修では、「お酒を飲んで場を温める」「アイスブレイクの時間を十分に取り、ファシリテーターが関係性や雰囲気をコントローする」という、プロローグ的な時間に大きなエネルギーが投入されます。いくら「さあさあ、今すぐメンバーとコミュニケーションを取りましょう!」という音頭を取られたって、そんな簡単に腹を割って話せるなら、わざわざ研修などする必要はないから。

しかし、非日常の、自然の中へ移動をしていると、「環境の共有」という体感自体が、アイスブレイクの役割を果たし、それぞれの自己開示までの時間が大幅に短縮されます。

人の心は、閉塞感のある環境では、当然閉じてしまいます。しかしオープンで軽やかな環境に身を移すだけで、不思議と自己開示が容易になるものです。

そこに、アルコールや無駄なトークは不要。
自然のある環境に身を委ねるだけでよいのです。

 

疲弊した都会のビジネスマンを救うものは、もはや自然しかない

夜は、さまざまな事件に彩られながらの飲み会が深夜まで続きましたが、だいぶ「しょーもない」ので、書き残すのはやめておきましょう。

さて、リビングから離れていた本田の部屋には、なんとWI-FIが届きませんでした。そのため、「電気を消して、すぐ寝る」という、これまた目に優しい夜となりました。たまにはブルーライトから離れた時間も必要です。

2日目。

朝食後は、てくてく歩いて滝を見に行きます。私も含め、4人中3人が「はじめて」ということで、朝からおかしいテンションの写真を撮ったりしましたが、それは社内資料に留めておきます。とにかく、朝イチの滝は、飲み疲れた胃腸をすっきりさせる、清浄な空気に包まれていました。

「滝だなー」「滝だねー」と当たり前のことを言い合うの図

朝の9時…というと、通勤電車に乗っていたり、会社でルーティンのメールチェックを行っていたり、とにかくやや憂鬱な時間帯であることに間違いはないのですが、前夜極限まで飲んだ若くもない人たちが、早起きして坂道を登りたくなるくらいには、自然の力は絶大です。

そしてとにかく、行きも帰りも、
目に優しいーーー!!!

 

こんな環境はきっと、目だけではなく、疲れた心にも、カスカスになった脳にも、優しい。

特にそこまで追い詰められていない私でも、そう感じるのだから、今まさに全体像の見えないトンネルの中にいたり、必死の策が思い浮かばず奈落へ落ちる寸前のビジネスマンにとっては、この風景は「救い」にすらなるでしょう。

やはり「自然の中で仕事をすると、インプットもアウトプットも神がかって進むし、メンタルも楽になる」というリトリート×仕事のメソッドは、間違いではない、と確信したのでした。

 

 

いかに「決めごと・やること」があるか、棚卸ができた合宿

滝から戻ったあとは、昨日の会議で出た材料を、取りこぼさないようにアクションプランに落とし込む作業。そこでは、うっすら気が付いていた「やること」に具体的な名前が付き、優先順位が決められていきます。

そして、最後は、各自の作業時間となりました。


思い思いの場所でまとめ作業をする

今回の経営合宿では、とにかく全員の「価値観のすり合わせ」に主軸を置いた時間が多く取られました。

特に、弊社ではフルリモートワークを導入しているため、各自の思う「こうあるべき」が数センチずつでもズレていると、1週間顔を合わせないままに、そのズレが倍速で拡大してしまいます。

これは小さなベンチャーに限らず、大きな組織でも同じでしょう。ただし大規模な会社では、そのズレが亀裂となり、ビジネスに悪影響を与えたとしても、会社が倒産するところまではいきません。

予算投入によるリカバリ、法的手段、もしくは人事的解決によって処理され、ひとつの「失敗事例」が増えるにとどまるでしょう。しかし少人数のベンチャーでは、「亀裂になるまで放置=会社の終焉」に近しいものがあります。

だからこそ、ベンチャーは「経営合宿」「全社合宿」「チーム合宿」を定期的に行い、こまめにズレの修正を行うのです。

…ということを書きつけたメモから、ふと目を上げると

ここは、どんだけ
目に優しいんだーーーー!!!!

 

ああ、このまま2週間くらい滞在して、みっちり書き物やサイト作成を行いたい…
と思いましたが、翌日はGW明け初日。まずはいったん俗世に戻り、もろもろの雑務雑用を済ませなくてはいけません。仕方がないので、まずは下山し、改めて山ごもりの計画を立てよう…と決めた本田でありました。

結論、自然の中で経営合宿をすると、

・異様なスピードと深度でコミュニケーションがはかれます
・仕事におけるメンバーの価値観のズレに気付き、早めの修正ができます
・目の疲れが取れて、頭がすっきりします

どうでしょう!少しは「わざわざGWに行われる経営合宿」のメリットを理解していただけたでしょうか。そして、具体的なイメージを持っていただけましたでしょうか。

株式会社Flucleでは、「働くをカラフル」にするため、これからもこのようなチャレンジを大真面目に行いながら、サービスの充実に努めてまいります!

 

 

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