リトリート×仕事は、日帰りでも効果が出るのか その②湯船編

【後編です】

「日帰りでも、リトリート先で仕事をすることは可能なのではないか??」
という仮説のもと、スーパー銭湯に向かうことになった株式会社Flucleの本田です。

どうして「リトリート」と「仕事」と「スーパー銭湯」が結びついたのかは、前記事をお読みください。
リトリートと仕事は日帰りでも効果が出るのか その①準備編

リトリートとは、「隠居・避難」「隠れ家・避難所」の意味を持つ言葉です。またデジタル大辞泉によると、リトリートとは「仕事や家庭などの日常生活を離れ、自分だけの時間や人間関係にひたる場所などを指す」とのこと。

今回は、日帰りという短い時間でいかに脳をリフレッシュさせ、いつもの8時間以上のクオリティの仕事を進められるかというチャレンジのレポート「湯船編」となります。

午前中のスーパー銭湯はパラダイスだった

スーパー銭湯の10時の開店に合わせて自宅を出発します。

持ち物は特になし。いつもと同じお仕事用バッグに、PC一式と化粧ポーチ、お財布のみです。出発前に何が必要か考えてみたのですが、お湯に入ってデジタルデトックスをしに行くのに「何かを持たなくてはいけない」と考えてしまうことこそが、リトリートと真逆の過剰な思考だということに気付かされました。

近鉄の中では、スマホをいじるのも禁止です。短時間で脳をリトリート状態に持って行くためには、なるべく早い段階からデジタルデトックス状態をキープすることが求められます。

今回は本も持っていません。車窓からは新緑の山々が見えています。カラリとした春の青空が広がっています。これ以上何が必要だというのでしょうか。ぼーっと流れる景色を眺めながら、心身を緩めることに注力します。

スーパー銭湯に到着、受付と館内把握を済ませ、何はさておき大浴場へ!

ありがたいことに広いお風呂はほとんど貸切、露天風呂の広さにも驚かされました。まるで段々畑のように坂になっており、数種類の湯船が並んでいます。空は青く、気温も程よい。最高ではありませんか…。

まだ午前中の柔らかい日差しが湯面を揺らし、遠くにはビリジアンの絵の具を重ねたかのような深緑の山々。あれは葛城山か金剛山か…

鈍った脳と、でも死なない社会

(このままいくと楽しいお風呂レポートになってしまう…)(違う、書きたいことはそれではない…)

このところ、人が自分の能力もとい脳力を最大限にして「仕事を楽しむ」ためにはどうすればいいかをひたすらに考えているわけですが、お湯にゆらゆら身を任せながら分かってきたことがありました。

とにかく脳を「基本」に戻すことが必要なのです。

ここでイメージする基本とは、可能性が限定されていない初期の状態のことです。

それは、新しく買ったPCの初期設定とは少し違います。ある程度スペックが決められており、それ以上を求めるときには何らのプラスオン操作が必要なPCと人間の脳では、未来に対する「無限の可能性」の幅がまったく異なるからです。

生まれたての赤ちゃんの脳はもちろん基本状態でしょう。しかし赤ちゃんが人格形成するために受け取る日々の情報や感覚は、その内容が環境要因に依る部分が大きいため、そして自分が生まれた環境で生き抜くためのノウハウを最優先にしがちなため、赤ちゃんは残念ながらすぐに環境依存していきます。

だからこそ大人になってしまった私たちがリトリートで「基本」に戻ろうとするならば、目指すべきは「個」としての赤ちゃんの状態ではなく、「人類」としてのはじめの立ち位置を目指すことが求められるのです。

人は動物ですから、野生の・第六感の働く・原始的な・生命力そのままの状態が「基本」です。

と書くと、「原始人より現代人のオレの方が優れているに決まってる」などと言い出す人もいそうですが、もっとロングスパンで考えてみてください。今の鈍ったあなたが短い人生で何かを生み出す可能性より、たった数万年・数千年でこんな文明を築けた原始人の脳力の可能性の方が大きくないですか!?

また、基本から遠く離れてしまうと、何かに対する忌避感や固定概念に縛られ、理論武装をし、様々な情報を瞬時に感知できない「鈍い動物」になってしまいます。

そんな動物は、自然界ではあっけなく死んでしまうでしょうね。ありがたいことに今はある程度成熟した社会に属しているため、死には至りませんが。

リトリートの核は「基本に立ち返ること」

恐らく、現代人が
「ストレスが溜まったから海を見てリゾートでゆっくりしたい!」
「自然に囲まれて、何もかも忘れて遊びたい!」
と思うのは、心身の危機を感じると、本能的に基本の状態に立ち返りたいというスイッチが入るからなのでしょう。

また
「結婚式でべろんべろんに酔って踊りまくった」
「お祭りで神輿を担いで我を忘れた」
という状態も、祭り・ハレの日という原始に戻ることを許される機会に、人がまだ文字や文明を持たないときから続けてきた歌や踊りというアクションにより「脳の基本アンテナ」がビンビンに立ち、トランスに入ってしまうからなのでしょう。

本当は皆、脳を「基本」に戻したいのです。
だって、最高に気持ちいいですから。

そう。こんなことをゆるゆる考えている私がどこにいたかというと、露天風呂の中です。
自然の中でも最大級に原始的な、水の中です。

「生命が本当に海から進化してきたのであれば、そして羊水に包まれていた胎児のときの記憶が残っているとすれば。温泉に浸かるというのは、あっという間に自分の脳を『基本』に戻せる、最高なリトリート環境なのだ!!」

道理で日本人は温泉が好きだし、子どもは海に入りたがるんだよねえ…
だって本能的に、自分の可能性が無限だった太古を思い出せるんだもんねえ…

仕事と快楽の関係

ほぼ貸切の露天風呂で、何種類もの湯船をハシゴしながら、どうして私が「リトリート×仕事」にはまってしまったのかを整理してみました。

・リトリート環境に身を置き、自然に囲まれること自体が気持ちいい
・日頃は情報過多で疲れ切っている脳が遊びはじめ、開放される感覚が心地いい
・そのシャープな状態で仕事をしてみると、めちゃめちゃアウトプットの質が上がって興奮する
・仕事で疲れない、むしろもっとしたくなり、終わった後も疲労感を感じにくい

つまり始めから終わりまで「気持ちいい」ことが続くのです。

特に私は書く仕事に追われることが多いのですが、日によっては数分で途切れる集中力が…なかなか切れずに持続する!

これは素晴らしい体験です。もちろん「非日常」に身を置いているため、気を散らすものが周りに無いのも大きな要因です。

そして、自己満足と言われようとも「むふふ…今日の私、結構いいアウトプットしたんじゃない?」と思える結果が積み重なり、「リトリート先で仕事をする=快感」という体験が私を次のリトリートへ駆り立てるのです。

ここ最近、働き方に対するネガティブなニュースばかりを目にします。

本来ワーク(仕事)は、ライフ(人生)から切っても切り離せないものです。そして私は、「ワークもライフも楽しいものである」と考えています。

もちろんワークにもライフにも小さなストレス、解決の必要な課題、失敗などがあるでしょう。

でもそれくらいで「つらい…」「やってらんない…」とへこたれてしまうほど、私たちの脳はもろいものなのでしょうか?もしかして「基本」から遠く離れてしまったために、ワークもライフも楽しめる感覚を忘れてしまっているのではないでしょうか?

とは言え、「脳を強くして、つらい仕事を耐え抜こう」という考え方になってしまっては本末転倒です。それより、ナチュラルに仕事で快楽を得られる仕組みがあれば、もっと「ワーク」はわくわくするものになるでしょうし、恐らく「リトリート×仕事」の核は、そこに見つかるはずです。

日帰りリトリートまとめ

この日、私は半日をかけてスーパー銭湯で仕事をしました。

レストランでランチを食べ、何度もお湯の中で思索し、少し昼寝をし、ときにデスクで集中して書き物を進め、クッションに包まれながら瞑想の時間を取りました。そして帰り道にあるカフェで集中して仕事の続きをこなし、スッキリした状態で帰宅しました。

恐らく在宅で同じ時間を費やしていたら、もっとパフォーマンスが下がっていたと思います。

そう思うと、リモートワークという「どこで仕事をするか」を選択できる制度を超え、「どこが自分にとって成果の出せる環境なのか」を見極め、ストレスなくそこに身を置けるシステムが必要である、とつくづく感じるわけです。

次回の記事では、株式会社Flucleの考えるリトリートについて、もう少し具体的にお話ができるかと思います。

【後日談】
社内でこの話をした後。取締役三田が「俺も行ってくる」と自発的にスーパー銭湯リトリートに向かいました。

私の、「お湯の中では思索が進むが、メモが!メモが取れない!」という反省を生かし、防水メモを購入して…

現在社内では、「アポイントが無いときにひとりで行くリトリート」に「ヒトリート」という名称が付き、じわじわと定着し始めています。このヒトリートのノウハウがどんどん蓄積され、皆が最大限の効果を出せるようになってきたら…「仕事」と「気持ちいい!」がリンクする日も遠くはないでしょう。

◆リトリートに関する以前の記事はこちら◆
リトリートと仕事は両立できるのか(6日間に渡るリトリート旅行のレポートです)
その会議、会議室でやる必要ありますか?(社内会議を野外で行ったレポートです)

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